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2021年10月レター理事長挨拶

インスタ流行語大賞上位にランクされた「ひよっているやついる?」という言葉。流行りの出所はマンガで、「ひ弱」を動詞にし「怖がっている」「ビビっている」という意味で使われています。しかし、本来の意味は「日和っている

有利なほうにつこうと、形勢をうかがうこと。…」です(『デジタル大辞泉』<小学館>より)。この「ひよっている」という言葉がぴったりな出来事が最近ありました。自民党総裁選挙です。            

最初に出馬表明した岸田さんは「政治とカネ問題について丁寧に説明し、透明性を高める」と意気揚々と主張したにも関わらず、途中「モリカケ桜問題は調査しない」と急転換。各世論調査で人気だった河野さんは、それまで「夫婦別姓賛成」「脱原発主張」「女系天皇容認」だったにも関わらず、安部さんと会談後は、それらをなかったことに。2人とも、選挙に勝つために有利なほうにつこうと、形勢をうかがったわけです。さらにいえば、大企業や金融投資家、原発村の住人、安倍麻生さんに、ビビってしまったのでしょう。

4人の候補者の政策論争とキングメーカーを狙う権力闘争は、投票権のない国民も巻き込み、盛り上がりました。総裁選劇場は、衆院選惨敗の影におびえていた自民党の局面を変えました。いうなれば、菅さんが9回裏に打ったサヨナラホームランでしょう。しかし今は、権力闘争に明け暮れるよりも、コロナ対策に力を注いで欲しい。さらには、ポストコロナ時代に向けて、福祉、経済、財政再建などあらゆる方面への青写真を描いてほしいというのが切なる願いです。

岸田さんの人事はツッコミどころ満載ですが、主張していた国内の格差是正はぜひ実現して欲しい。しかし、それが選挙対策の「ばらまき」にならないように国民は監視しなければなりません。日本にはすでに、1200兆円以上もの借金があります。子どもたちに、この借金を残していくのでしょうか。地球温暖化対策も然りです。選挙の場当たり的な対策ではなく、未来を視野に入れた人物が政治の中心にいて欲しい。岸田さん、日和見主義の対義語は「初志貫徹」です。忘れないでくださいね。(後藤恵里子)