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ジェンダー平等の動きを消さないで

国際的な男女平等の高まりから開かれた1995年の「北京女性会議」、それをきっかけに「男女共同社会基本法」制定が1999年。それから既に20年以上が経った。その間「女性の職業生活における活躍推進法」や「政治分野における男女共同参画推進法」などの法整備にも関わらず、日本のジェンダー平等は一向に進まなかった。世界経済フォーラムが発表するジェンダーギャップ指数は年々低下するばかり、2019年度には153カ国中121位と先進国中最下位。世界各国が性差別を無くそうと必死になっている中、「202030」指導的地位における女性割合目標の3割達成もできなかった。国連女性差別撤廃委員会から再三再四勧告されている選択的夫婦別姓も実現できない。憲法を変えてまで議員を男女同数にするパリテ法を制定したフランス。世界はまさに「203050」の時代。変わらない構造として日本社会の中に根強く残る、慣習や無意識の差別が連綿としてあるからだ。

群馬においても自治会長の女性割合、市町村における男女共同参画基本計画の策定割合、管理職における女性割合など国内で下位占める事項が多々ある。女性団体が毎年要望している審議会等の委員会に於ける女性割合も増加してはいない、女性割合零の委員会も存在する。

そんな中で起こった森前五輪大会組織委員会長の女性蔑視発言である。今までのようにいつの間にか沈静化するかと思いきや、国内外からの強い反発で辞任に追い込まれた。ジェンダー平等をメーンストリームとするSDGsを掲げる東京大会にそぐわないからだという。

会長が女性に変わったからといって構造的な性差別はなくなっていないし、むしろ問題が解決されたように思えるのが怖い。新会長は女性の役員を40%にすると宣言しているが、それは既に202040を国際スポーツワーキンググループが掲げていて、先に閣議決定された国の第5次男女共同参画基本計画の第7分野に「スポーツ団体ガバナンスコードに基づく各中央競技団体における女性理事の目標割合40%」と明記されてなんら斬新なものではない。ただ今回の問題を契機に「ジェンダー平等」という言葉が一般に認知されてきたことは喜ばしい。かつてはジェンダーバッシングが起こり、公式の文書からジェンダーという言葉を削除した自治体もあったのだ。

#MeToo運動や#KuToo運動、chang,org などの活動で培われた若い女性たちの力、アンコンシャスバイアスに気づき始めた男性たちの動きがこれから期待される。「男女共同参画社会基本法」制定を機に実施された「県政参画講座」と受講生の会を基盤とするNPO法人ウィメンズウイルぐんまはこれらの若い層と連携して真のジェンダ―平等を実現するためにこれからも更に活動を推進していくつもりである。(M.K)